全日本モトクロス選手権 第9戦(中国大会) IA−2:新井宏彰(TEAM GREEN) シリーズチャンピオン獲得! IA−1:溝口哲也(K.R.T.)ヒート2 3位 IA−1:中村友則(K.R.T.)ヒート2 4位 Motorsports Information Race Reportはこちらをご覧ください。
今シーズン、新井宏彰は勝つことにこだわり続けてきた。最終的な目的はもちろんシリーズチャンピオンの獲得だ。そのために新井は、04年にカワサキの先輩溝口哲也が記録したシーズン11勝を更新することを目標に定め、その実現に向け全身全霊を投じて来た。自ら課したノルマを達成できれば、結果は必ず付いて来る。そう信じていた。 迎えた第9戦中国大会。すでに10勝をマークした新井とランキング2番手に付ける平田 優(ホンダ)との差は35。今大会が終了した時点でその差が56に広がれば新井のタイトルが確定する。微妙な数だ。新井の優勢に疑う余地はない。しかしタイトル決定は最終戦へともつれ込むだろうと誰もが予想していた。その瞬間(とき)は、意外に早く訪れた。 ヒート1、会場のグリーンパーク弘楽園は、新井にとってホームコースとも言えるコース。負けるはずはなかった。序盤からライバルを圧倒し、新井は独走で11勝目をマーク。優勝回数でついに溝口の記録に並ぶ。その一方で、優勝マジックの対象である平田がクラッシュし、リタイアしたのだ。ポイント差は一気に60に広がる。第2ヒートで新井が平田に先着すればタイトルが決まる計算だ。 迎えたヒート2。勝てばもちろん新井のタイトルが確定する。同時にシーズン最多の12勝も達成できることになる。スタートゲートについた新井には多くの視線が注がれていた。しかし新井は不思議と平常心を保っていた。32台のエンジンの咆哮の中に一瞬金属音が交じりゲートが倒れる。KX250F-SRの加速でいつも通り視界が開けた。鮮やかなホールショットを決め、新井が真っ先に1コーナーに飛び込む。一方出遅れた平田は勝負を諦め、1周目が終わるとピットイン。早々にパドックへと引き上げていく。その瞬間、新井のタイトルは決まった。 2周目、早くも後続を引き離しトップで戻ってきた新井に、「平田リタイア」のサインが出される。しかし新井は、全く手を緩めようとはしなかった。むしろ更に厳しくコースを攻め立てた。事実、新井が完全独走状態の中でこのヒートのファステストラップをマークしたのは11周目。正にそれは、自分との戦いだった。 ライバルにも自分にも記録にも…。完全勝利を果たした新井を優勝のチェッカーが待ち受ける。歓喜の雄叫びを上げるスタッフ。「応援してくれたみなさん、チャンスをくれたカワサキとチームに感謝します。」表彰台で喜びを語る新井。しかしここはまだゴールではない。更なる高みへ、新井とカワサキのチャレンジは続く。