■涙が溢れてきたウイニングラップ
最高の母の日のプレゼントとなった
その差、わずか0秒139。スリップストリームを使って迫る小西選手(#73)を征し、高橋選手はチームグリーン移籍後2戦目にして見事な優勝を飾った。トップに躍り出たのは、ファイナルラップの第2ヘアピン。それまで合計26周にもわたり、小西選手の背後にぴたりと寄り添うようにしてセカンドポジションをキープ。「本当はファイナルラップの1コーナーで飛び込むつもりでしたが、小西さんにフタをされちゃっていけなかった。最後の勝負に出た第2ヘアピンはラインが小西さんと少し違っていたから。ジャストタイミングでとびこめました(高橋選手)」。トップに立ち、残るは最高速の出るバックストレッチと最終コーナー。先に姿を見せたのはグリーンのマシンだった。
予選は59秒332。トップタイムをたたき出した新垣選手にコンマ5秒ほどの遅れをとり、総合で9番手・セカンドローからのスタートとなった。コース幅が狭く、1コーナーまでの距離が短い筑波サーキットでは予断を許さないスターティンググリッドだ。決勝のオープニングラップを奪ったのは2番グリッドからスタートした小西選手。次いで前節2位表彰台に登った寺本選手(#5)、さらに野田選手(#12)。いずれもフロントローからの3人だった。高橋選手はそのすぐ後ろ、なんと4番手で1周目をクリア。2周目に寺本選手がコースアウトすると自動的に3番手に浮上し、3周目には野田選手をかわし逃げる小西選手にくらいつく。
セカンドポジションを手に入れた高橋選手はセカンドグループの先頭に立ち、周回を重ねはじめたが5周目のMCコーナーで野田選手と佐藤選手(#10)が転倒リタイア。離されつつあった小西選手との差を縮め、一騎討ちの格好となっていく。その差はコンマ2秒前後。ワンチャンス・ワンミスで簡単にポジションが入れ替わる。が、しかし試合巧者の小西選手がやすやすと前をあけるはずもなく、接近戦はその後16周も続いた。ようやくチャンスが訪れたのは18周目の1コーナー侵入。わずかのタイミングでついにトップに躍り出た。
「けど、引っ張れませんでした。ペースを作れなかった。このままトップにこだわっていたら、後半もたなくなると思って、次の周回で再びセカンドポジションに戻り、小西選手をマーク。食らいついていくことに専念しました(高橋選手)」。食らいつく走りはラストラップまで10周に及んだ。エンジン音でその差を計っていた小西選手はラストラップに高橋選手の仕掛けを推測したのか、第2ヘアピンでこれまでと少し違うラインを選択。突きはなしにかかったが、高橋選手は逆にそこをついた。「1コーナーで一度抜いていたし、そこは無理かなと思い、第2ヘアピンまで我慢したのがよかった。けど、勝つなんて思ってませんでした(高橋選手)」と振り返る。
ウイニングラップの途中で大きく降られるグリーンのフラッグを観客席に見つけた瞬間、「いままで応援してくれたファンや家族の顔がふと出てきて涙が止まらなくなっちゃいました」と表彰台で優勝の感想を述べた高橋選手。表彰台を降りるとまっさきに、この日サーキットに招待していたお母さんに優勝の花束をプレゼントした。
<<野村監督のコメント>>
見事でした。予選のタイムから冷静に考えると表彰台圏内であれば十分と考えていましたが、冷静なレース運びでこれ以上ない結果をもたらしてくれました。もてぎでの開幕戦は、後わずかのところで表彰台に手が届かず悔しい思いをしたので喜びもひとしおです。ベテラン小西選手を向こうに回し、セカンドポジションをキープしながら、冷静にレースを展開。最終ラップのワンチャンスを見逃さなかったのはライダーとして大きなステップにつながります。この流れをぜひオートポリスに持ち込みたいですね。
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