新井宏彰&KX250F-SR、試練を乗り越え開幕から5ヒート連続優勝!!
開幕から2戦連続パーフェクト優勝。しかも前回近畿大会では、タイトルを争うライバルの一人、平田 優(ホンダ)が最も得意とするコースで、平田を完膚無きまで叩いて見せた新井宏彰。中1週のインターバルで迎えた関東大会の会場は、全日本初開催のオフロードヴィレッジ。そこは平田が所属するホンダのホームタウンであり、群馬県沼田市出身の新井にとっても慣れ親しんできた地元だ。負けるわけにはいかない。新井は気合、気力、体力ともベストの状態で第3戦を迎えていた。
コースは完全にフラットで、大小のジャンプにフープスからなるスーパークロス的なレイアウト。ジャンプの好きな新井に取っては絶好の見せ場になるハズだった。土曜日のフリー走行を終えて、新井の視界を遮る障害は全くないように思われた。ところが予選で、そのアクシデントは起こる。
ここをホームコースにする若手の星野優位(ホンダ)が強引に新井の前に出た。良くラインを知っている。決勝に向けての新たな策を得ることができるかもしれない。2番手に付けた新井は、しばらく様子を見ようと星野をフォローする。その時だ。新井の目の前で星野がスリップダウン。新井は投げ出されたライダーとの衝突だけは避けようとラインを変えた。そこには星野のマシンが横たわる。フロントを弾かれ新井も転倒。幸い身体にダメージはない。後続ははるか後方だったし、そのまま再スタートすれば悠々トップでゴールできるハズだった。しかし、絡み合ったマシンが外れない。星野のブレーキホースが新井のブレーキペダルに絡みついていたからだ。ライダー二人ではどうにもならず、オフィシャルが入ってなんとか二台のマシンを切り離したとき、新井は既に周回遅れ。決勝にはランキング上位者のシード権を使って出場できるが、グリッドの選択権はない。ここまで順調にレースを重ねてきた新井にとって、直後あたり一帯に吹き荒れた暴風雨のような、文字通りの青天の霹靂ともいうべきアクシデントだった。
「レースだからこういうこともある。」新井は気持ちを切り換えて決勝レースを迎えた。予備のグリッドが二つあり、2列目スタートという最悪の状況を回避できたことも幸いだった。流れはまだ自分にある。絶対に負けられないという気持ちには、寸部の隙もなかった。新井は不利なグリッドから気合のスタートを決めて、1コーナーをトップでクリアする。最初のジャンプを飛んだとき、2位以下を置き去りにするような渾身のスタートだった。その先レースは、またも新井の独壇場となった。余裕のチェッカーフラッグ。笑顔で表彰台の定位置に立った新井の隣には、憔悴しきったライバルがいた。
続く第2ヒート。不利なグリッドも新井と新井が駆るKX250F-SRの前にはハンデにすらならない。新井はまたもスタートの加速でライバルを置き去りにした。しかし1コーナーで滑るイン側に切れ込んで来たライダーがいた。平田だった。1周目から必死にスパートする平田に対し、新井は序盤、自分の走りがほんの少し固くなっていると感じた。前半やや差が開く。後半気持ちを切り換えペースを上げると、少しずつ差は詰まりだしたが、このレースでは平田も速かった。新井は今シーズン初めて優勝のチェッカーフラッグを後ろから見ることになった。連勝は途切れたが、全力を出し切った結果だ。甘んじて受け入れようと思った。
表彰式。目の前には地元の仲間たちの顔、沢山のカワサキの応援フラッグがあった。1位と2位の段の高さは僅か数十センチ。しかし、そのほんの少しの差に手が届かなかったことに悔しさが込み上げてきた。「連勝記録は5で止まったけれど、次は6連勝を目指します。」新たな闘志が新井にそう言わせていた。次戦中国大会の会場グリーンパーク弘楽園はカワサキにとってのホームコース。シーズンは中盤戦へと向かう。
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