最終コーナーからライムグリーンのマシンが飛び出してくると、チームグリーンのピットクルーたちは歓喜の声をあげ、降りしきる雨の中にこぶしを高々と掲げた。チームグリーンのダブルウインが開幕戦で達成されたのだ。 ******* ******* 今にも降り出しそうな空模様の下、スタートしたJSB1000クラスの決勝レース。セカンドロー7番グリッドから飛び出したゼッケン87・柳川選手のマシンはするするとポジションアップ。4位でホームストレートに戻ってきた。4周目には前を行く中須賀をとらえ表彰台圏内の3位に上昇。その後はセカンドグループを引っ張る形でバトルを展開しながら周回を重ねていった。「事前テストが十分ではなく、まだセッティングを煮詰めきっていないままの決勝だったのでポジションキープが精一杯だった(柳川)」というように、3位争いをしている間にトップ2台との差は歴然となった。このままレース後半へ進みかけた13周目、雨を知らせるクロス旗が出され、大粒の雨と同時にレースは赤旗中断となった。 レース成立規定回数にわずかに達していなかったため、8周の再レース。タイム合算ではなく、2回目の順位がそのまま決勝結果となる。グリッドは12周終了時の3番手フロントローからだ。「あぁいう状況では気持ちがゆるんだものの負けになる(柳川)」と柳川選手は絶妙のクラッチミートでホールショットを奪うと、そのまま果敢な走りでトップを独走。ヘビーウエットの滑りやすい路面状況に、相次ぐ転倒・コースアウトするライダーが続出する中、2分7秒台をコンスタントにたたき出し、独走状態のままトップでチェッカーを受けた。 野村監督のコメント: ドライでのテスト不足から過酷なレース展開が予想されましたが、ウエットコンディションでの再レースでチャンスが巡ってきたといえるでしょう。そのチャンスをしっかりたぐり寄せた柳川選手のテクニックとわずかな時間で雨のセッティングを作り出したメカニックの勝利です。幸先のいい開幕ダブルウィンとなりましたが、この調子を今後も続けたいですね。
ホームストレートに戻ってきた酒井選手は、開幕戦勝利の喜びをウィリーで表した。レース序盤でトップに立つと後続との差を確実に広げ、終わってみればぶっちぎりの優勝。予選からの好調な流れは現実となった。 ******* ******* 「その日のベストを尽くすことで上位をしっかり手にしたい(酒井選手)」。昨シーズンの反省から多くを学び取った酒井選手は、予選3番手のグリッドについて冷静な答えを用意していた。抜群のスタートダッシュでポジションを一つあげたオープニングラップは、後続車の転倒でいきなり赤旗中断。仕切り直しとなった再レースでも集中力はとぎれることはなかった。レース前の冷静な受け答えは本物だった。 前を行く高橋選手(#7)を慎重にパスすると、逃げ切り体制に入ろうとしていたトップを猛追。1分56秒前半のラップタイムを重ね4周目にはファステストラップをたたき出し、ギャップを縮めていった。「前に出るのに時間はかかったけどまだ序盤だったし、まったく焦りはありませんでした。前をつかまえる自信もあった。コーナーごとに背中が大きく見えていましたから(酒井選手)」との言葉通り、5ラップを終了した時点でそのギャップはついに1秒を切っていた。その直後だ。6ラップ目に入った1コーナーで安田選手(#1)が単独転倒。酒井選手がトップに躍り出た。 レース序盤でターゲットを失ってしまった酒井選手だったが、時計仕掛けのように1分57秒前半の安定したラップで周回を重ね、2位の大崎選手(#9)に5秒以上のアドバンテージを確保。戦意を喪失させるには十分すぎるタイム差でそのままぶっちぎりの優勝となった。 野村監督のコメント: 昨シーズンで酒井選手の速さは誰もが認めるとことになったが、精神的にもろい面が出てしまいふいにしてしまったレースも少なくありませんでした。今回の勝ち方はマインドコントロールの強さも見ることができたレースといえるでしょう。柳川選手から学ぶことも多くまだまだ伸びると思いますので、皆さんの応援よろしくお願いします。
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